部屋の方角(東西南北)ごとのメリットとデメリット

部屋の方角(東西南北)ごとのメリットとデメリット

一戸建てやマンションなどの住宅は、航空写真地図で確認してみると分かりますが、ベランダや庭を南向きにしている物件が多いことが一目瞭然です。しかし、住宅が密集しているとせっかくの南向きでも十分に日が当たらない物件もあります。

賃貸の部屋を選ぶときには、部屋の向きはどの程度気にするべきでしょうか。方角ごとのメリットとデメリットを紹介します。

建物のどこを基準にして向きが決まるの?

東向きや南向きというのはどこに立ってどこに向いたときの方角なのか、庭やベランダがある側で物件の向きが決まるのはなぜか、四角い建物で全ての方角に窓があるのはどっち向きなのか、など建物の向きがどう決まるのかについて説明します。

玄関?ベランダ?部屋の方角はどこで決まるのか

玄関がその家へ入るための入り口になることから、玄関がある向きで建物の向きが決まると思う人もいるようです。ベランダやリビングから出入りできる庭に面した方向と同じ向きに玄関があれば、それもあながち間違いではありません。

しかし、家の間取りにより、リビングとは一番離れた遠い位置に玄関がある造りの住宅もあります。その間取りでは、玄関が住宅の向きを決めることにはなりません。

最大開口部や主要採光面で決まる

住宅の向きを決めるのは、たいてい住宅の部屋の中で一番広いリビングにある、一番大きな窓がどちらに向いているかで決まります。家族が集まる一家団欒のためのスペースがリビングになります。

何人もで使うことになるため、どの部屋よりも広い部屋をリビングとして使うはずです。リビングは、どんな立地でも通常は建物の中で一番日当たりの良い向きになるように設計されています。

太陽は東から昇り南寄りに軌道を描き西に沈みます。そのため、一日を通して日当たりの良い側に洗濯物を干したり布団を干したりするために、一番日当たりの良い向きにベランダや庭を設けます。

ベランダに出るためには大きな床まで届く掃き出し窓が必要です。少しでも日当たりをよくするために大きな窓で室内に太陽を取り込もうとします。そのため、住宅の中の一番大きな窓のある向きで、その住宅の向きが決定します。

集合住宅は東南角部屋が良いって本当?

一番人気はやはり、東南角部屋や南向きの物件になります。しかし、誰かしら室内に日中いることになる家族向けの物件でなく、一人暮らしで、日中に室内に誰もいない、夜にいる時間の方が長いということなら、あまり部屋の向きが気にならないケースもあります。

最上階の南向き物件は、屋上にしっかりとした断熱材がなければ夏の暑さが厳しいということもあります。寒がり暑がりは人によって違いますので、人それぞれに好みの向きは分かれることもあります。

方角ごとのメリットとデメリットについて

同じような間取りでも、階数や向きにより若干の差を付けて家賃を設定しています。方角を取るか、家賃の安さを取るか、悩む人もいるでしょう。悩む前に、まずはそれぞれの方角に対してのメリット・デメリットを知っておけば、自分のライフスタイルでどの程度の影響があるかを知ることができます。

東向き物件の特徴とメリット・デメリット

太陽は東から昇るため、東向きに窓がある部屋から徐々に明るくなっていきます。明るい朝日を感じながら朝気持ちよく目覚めることができるでしょう。午前中の日当たり具合は他の向きの部屋よりも良いため、身体も脳もシャキッと気持ちよく過ごせます。

しかし、午後以降は日が入らず段々と薄暗くなり、午後早い時間帯に夕方のような雰囲気になります。冬の午後は日当たりが悪く、寒いと感じることもあります。夏は気温が上がりきる前に直射日光が当たらなくなるため、午後になっても急激な気温上昇とならずにすみます。洗濯は早めに干すのが吉です。

西向き物件の特徴とメリット・デメリット

東とは真逆なため、午前中の日当たりは期待できません。朝は薄暗く寒いこともあるため、なかなか布団から出られない人は気を付けましょう。しかし、午後過ぎから夕方にかけての日当たりが良く、かなり長い時間部屋の奥まで日が差し込みます。

冬でも部屋が暖かくなるため、夜帰宅しても室内に入るとほんのり暖かく感じます。しかし、真夏は西日がキツくなり、濃い色の洗濯物を長時間西日にさらしていると、色褪せが目立ってしまいます。また、畳や壁紙の日が当たった部分とそうでない部分との日焼けの差がくっきりとしてしまうことがあります。

南向き物件の特徴とメリット・デメリット

太陽が出ている間は、一日中陽が当たります。十分に明るいため昼間に照明を使うことは滅多にありません。こちら側に洗濯物を干すと大物でもよく乾き、布団も気持ちよく乾燥させることができます。冬は暖房費を節約できますが、夏は遮光しないとかなり室内の温度が高くなります。

日中家にいる人なら、明るい室内で過ごせるため家賃は他の向きの物件よりも数千円割高に設定されていることが多いです。日の当たる時間が長いと、本棚の書籍の色褪せが見られたり、食物を出しっぱなしにしておくと傷みやすいことがあります。

北向き物件の特徴とメリット・デメリット

北向きの物件の最大のメリットは、家賃が安いことでしょう。なぜなら、ほとんど日差しが入らないためです。色々な向きに何部屋もある一戸建てならよく分かりますが、一番ひんやりと湿気が多いのが北向きの部屋です。そのため、居室を設けずに水周りや玄関、納戸を北に配置することがあります。

しかし、北側に部屋がある場合、少しでも明るくなるように、換気をよくして湿気がこもらないように窓を大きく取っている住宅も見られます。冬は寒さが厳しいですが、夏は涼しく快適に過ごせると言えます。

まとめ

小さな子どもやお年寄りが住む住居なら、日中は日当たりの良いぽかぽかした部屋で過ごさせてあげたいですね。しかし、平日の日中は誰もいない、休日には外に出かけることが多い、と言うなら、あまり部屋の向きは気にならないかもしれません。

まして、学生の一人暮らしで期限付きで住む物件なら、部屋の向きよりも家賃の価格重視という人も大勢います。それぞれの事情により、どれが良い向きの物件となるかは一概には言えません。方角が良くても、高層建築物があれば途端に事情は変わってきます。方角を気にしなければ、賃貸物件の選択肢がかなり増えるのは確かです。