保証人がいない場合、また保証会社を使う場合の注意点

保証人がいない場合、また保証会社を使う場合の注意点

賃貸で部屋を借りる時は入居審査があり、一般的には連帯保証人が必要になります。ただし、誰でも良いわけではなく、年金受給者や所得額によっては連帯保証人として認められない場合があります。

そのため、連帯保証人になってくれる人が見つけられないと賃貸物件に住むことができないのでは、と心配になる人もいるかもしれません。しかし、連帯保証人が見つからなくても部屋を借りる方法はあります。

賃貸契約時には連帯保証人が必須?

まず、連帯保証人は賃貸契約時において何をする人なのか、どうして必要になるのかという点について説明します。

連帯保証人は何のために必要なのか

賃貸物件の部屋を借りるときには、自分がいくらその部屋を気に入って借りたいと思っても、貸主はよく知らない人にむやみやたらと貸し出すわけがありません。

居住している人たちに迷惑をかけたりするようなことがないか、毎月きちんと家賃を支払う能力があるか、問題を起こしそうな人物ではないかなど、ひととおりの人物像を把握できないと安心して貸すことができません。

そのため、勤務先や職種、月収や年収などを事前に入居申込書に記入してもらい、それに基づいて審査が行われます。不動産会社訪問時や内見の際の服装や振る舞い等も考慮することになるでしょう。

その際の入居申込時に、連帯保証人に関しての情報も記入しなければなりません。そこで、連帯保証人の勤務先や連絡先なども必要になり、所得証明書や課税証明書などの所得額が分かる書類の提出を求められます。

入居者本人が万一家賃を支払えなくなったり、荷物を残したままいなくなったりしたときには、連帯保証人に連絡を取って家賃を払ってもらったり、残った荷物を引き取ってもらったりする必要があります。

場合によっては、部屋の修繕費用等が生じることもあり、それらの金銭的負担をしてもらうことになります。それが一般住宅賃貸物件における連帯保証人の務めです。

不動産会社により、連帯保証人の資格を制限し、第三者の他人よりも血縁や親族である事を重視しているところがあります。定期的な安定した収入があり、その上に家賃を支払い得る能力があるかどうかということが重要であり、年金受給者の場合はその金額次第では認められない場合もあります。

連帯保証人がいないと賃貸物件には住めない?

それでは、連帯保証人になり得る身内がいない場合は賃貸物件に住むことは諦めるしかないのか、と悲観することはありません。賃貸の空き物件が数多くある現代において、連帯保証人が見つからないからといって賃貸物件を借りられないということはありませんので安心してください。

核家族化、少子高齢化、親戚付き合いの希薄化などにより、誰もが連帯保証人を難なく見つけられる時代ではありません。国は、低所得者や高齢者、ひとり親世帯や外国人など、住宅を確保するのが困難な人たちに、安心して生活するための住宅を供給する環境整備の施策をすすめています。

そのような人たちが賃貸物件を借りる際に、借り主の連帯保証人代わりになり、住居を貸し出す大家のリスクを緩和するためのシステムがあります。

家賃保証会社とは?どんな保証をしてくれるの?

上でも説明した通り、賃貸物件の申し込みには連帯保証人を立てることが必須ですが、事情により連帯保証人になってくれる人を見つけるのが困難な人もいます。家賃保証会社は、決められた手数料を受け取ることで、入居者の連帯保証人代わりになってくれる会社です。

連帯保証人がいない人のためのシステムとは

ビジネスとして連帯保証人の代わりを行う家賃保証会社と言う業種があります。賃貸物件を借りたい人が連帯保証人を見つけられない場合、この家賃保証会社にお金を払って契約をして、連帯保証人代わりになってもらいます。たいていは物件を申し込むときに不動産仲介会社に家賃保証会社を指定されることがほとんどでしょう。

連帯保証人に変わり借り主の費用を立て替えてくれる

万一入居者が家賃を支払えなかったときは、家賃保証会社が立て替えて、大家に滞っていた家賃を支払ってくれます。連帯保証人がいない人に代わって、契約料を払えば連帯保証人の代行をしてくれる会社と言う認識で間違っていません。

ただし、入居者本人が支払わなければならない費用を一時的に立て替えてはもらえますが、これは必ず返す必要のあるお金です。身内の連帯保証人なら頭を下げて勘弁してもらえるような金額でも、家賃保証会社にはきっちりと返さなければなりません。

家賃保証会社の加入を必須とする物件も

最近の物件は、初めから誰に対しても「連帯保証人不要」とする物件も出てきています。連帯保証人がいても、結局は何かの問題が起きた際にはなかなか連絡がとれないことも多いようです。

連絡がとれても家賃の支払いを渋ったり、本人が何とかするはずだからそれまで待ってほしいと逆に説得されたり、いろいろなケースがあります。いろいろと手間ひまをかけて連絡をとり説明して支払いをお願いしても、本来の連帯保証人としての債務を放棄する人もいるため、家賃の回収の見込みがないこともあるとか。

それなら最初から家賃保証会社に頼んだほうが、手っ取り早く問題なく家賃が回収できるため大家にとっても都合が良いわけです。連帯保証人がいなければ、その人に対しての審査や身元等審査する必要もないため手間も減り、入居までにかかる時間が短くなれば収入が増えることにもなります。

家賃保証会社を利用する際の注意点は

賃貸物件を借りる際の連帯保証人を立てられない人にとっては、ありがたい家賃保証会社のシステムですが、以下のような問題点もあるため注意が必要です。

審査がゆるいほど利用料は高い?

会社により手続きや審査内容には差があります。契約期間は1年から3年単位などさまざまです。保証料は、ここでも家賃が基準となり、2年単位で家賃の25%、30%、40%程度から、70%というところもあります。

また、申込時に一括払いでおさめるのではなく、月家賃の何%かを毎月支払うところもあるようです。こう見るとかなりの開きがあることがわかり、支払い方法もさまざまです。

家賃保証会社でも独自の審査を行っています。クレジットカードの支払いの滞納等がないか、過去にも家賃を滞納していないかなど、その審査の内容もさまざまです。一般的には審査がゆるければ手数料は高くなり、審査が厳しいほど手数料が安くなる傾向があるといえそうです。

定期的に更新料が必要になる

契約期間もさまざまで、賃貸物件に合わせて2年ごとに更新手続きをするところもあれば、1年ごと、3年ごと、となっているところもあります。更新するたびにその都度手数料が必要になり、その金額もバラバラです。

回収が厳しいことを覚悟!

家賃保証会社に家賃を立て替えてもらった後の回収に関する相談や苦情の例では、家賃以上の身に覚えのない請求をされた、法定を超える高額な手数料を請求された、昼夜問わずの厳しい督促をされた、という事例があります。

また、度を越した取り立ても問題視され、入居者の意思に関係なく強制的に鍵の交換をしたり、許可無く部屋の物を持ち出し、換金処分して家賃に充当するというようなことが行われたという報告もあります。

中には怪しげな会社もある

家賃保証会社の利用者が増えている中、上記のような悪質業者とのトラブルの事例も相次いでいます。現状では、家賃保証会社は監督省庁への届け出や自治体などの許認可を取る必要もなく、無秩序で事業を行えてきたことが原因です。

もちろん一定の水準を満たす適正な会社もある一方、「保証人引受けます」と苗字と携帯番号だけしか記されていないチラシを投げ込むような怪しげな業者も存在します。国土交通省はさまざまなトラブルが頻発していることを鑑み「家賃債務保証の情報提供等に関する検討会」で、家賃債務保証業に対する登録制度を近年中に導入する見込みです。

UR賃貸なら連帯保証人が不要

民間の不動産会社ではなく、独立行政法人都市再生機構が運営管理するUR賃貸住宅なら、連帯保証人が不要です。本人確認ができる住民票の写しや所得証明書などの書類の提出だけで入居申し込みができます。

ただし、基準月収額や基準貯蓄額を満たさなければならないなどの入居要件があります。目安としては家賃の4倍の平均月収があればクリアできますが、いつでも空きがあるわけではなく、先着順や抽選制度をとっているなど入居希望者は多いためすぐに入居できないこともあり、外れたときのことも考えておく必要があります。

まとめ

昨今では、指定の家賃保証会社利用を義務化する不動産仲介会社も増えています。大手の不動産仲介会社なら信用のおける家賃保証会社と契約しているはずですが、中には特定の家賃保証会社と契約していないところもあります。

自分で家賃保証会社を探すときには、悪徳会社にだまされないように気をつけなければなりません。くれぐれも電柱に手書きのチラシを貼ってあるような怪しげな業者に引っかからないようにしましょう。

また、高望みの物件でなく、収入に見合った家賃の部屋を選ぶなど、家賃を毎月きちんと払えるように自衛することが第一です。