部屋探しをしていると、フリーレントという言葉をよく見かけるようになりました。初期費用が安くすむお得なシステムですが、メリットだけでなくデメリットになることもあるため注意が必要です。また、フリーレントの期間が貸し主と借り主で解釈の異なることがあるため気をつけましょう。
今回は、フリーレントの物件を効率よく探すコツと、契約する際の注意点についてまとめました。
勘違いも?フリーレントの正しい意味とは?
フリーレントは、一定期間の家賃が無料になるシステムです。この説明だけだと、とてもお得に感じられますが、実際には自分が思っていた内容と違っていて問題になることがあります。どういうことなのか見てみましょう。
契約してから入居するまでの家賃が無料?
フリーレントの期間、つまり家賃が無料になるのはいつからいつまでなのか、それぞれの物件により異なることに注意をしなければいけません。
このフリーレントには大きく分けて2つの異なる意味があります。まず1つは、春から就職をする新卒の社会人や、大学に入学する新入生に向けてフリーレントを付ける場合です。
春先から通勤通学のために住むことになる物件を早く決めたいときにありがたいシステムです。引っ越し先が空き物件が少ない地域や、少しでも良い物件を先に押さえておきたい、切羽詰まって慌てたくない、と言う人なら早くから物件探しをしています。
少しでも良い物件を時間をかけて見つけたいが、良いと思える物件があったら他の借り手がつく前にその物件を押さえておきたいと思います。しかし、契約をしてすぐ住まない期間の家賃を支払うのがもったいないため、その物件を押さえておきたいがどうしたものか、と言うことから生まれたのがフリーレントです。
入居してから数か月間の家賃が無料?
フリーレントの2つめは、入居してからの家賃が無料になるシステムです。その入居日が1日なら、月末までの1か月間の家賃を無料にすると言う意味です。
別のケースでは月の途中から住み始めた場合は半月分が無料になったり、翌月1か月分が無料になったり、とさまざまなパターンで不動産会社や貸し主が独自に決めています。そのため同じ不動産会社でも、物件によりいろいろなパターンがあるので注意しましょう。
最近では空き物件が多く、入居率を上げるための敷金礼金ゼロ物件はもはや当たり前のように見られます。そこで、さらにお得感を強調したいためにフリーレントをつけることが多いようです。そうすることにより他の似たような物件と差別化を図り、入居が決まれば、貸し主も不動産会社も借り主もウィンウィンの関係になるからです。
フリーレント物件のメリットとデメリットは
フリーレント物件の最大のメリットは、本来なら支払うべき家賃を支払わなくてすむという点です。しかし、そこだけを取り上げ、他のデメリットになる部分を知らないと、後からそんなはずではなかった、こんなことならフリーレントにこだわるべきではなかった、などのトラブルになることもあります。
メリットとデメリットそれぞれの特徴を理解した上で、さまざまある条件の選択肢の1つとして考えてみましょう。
初期費用が安くすむのが最大のメリット
家賃が無料になる期間が一般的には1か月とするところが多いです。しかし、中には3か月ほど無料になる物件も見かけます。そもそものフリーレントというシステムは、個人ではなくオフィス用の物件などに多く見られたものでした。
オフィスビルのテナントの入居率を上げるために、一定期間の賃料の無料期間を設けることが多かったようです。それが昨今では、ちまたにいくらでも溢れている住居用の賃貸物件の入居率を上げるために、一般の賃貸でもフリーレントが導入されるようになりました。
前述の通り、フリーレントがあればあらかじめ部屋探しに時間をかけることができ、目をつけておいた良い物件を他の借り手がつかないうちに無料で抑えておけるメリットも大きいです。
本格的な入居は当分先でも、暇を見つけて少しずつ自分で荷物を運び入れることができ、引っ越し後すぐに生活ができるように整えておくこともできます。
何よりも大きなメリットは、契約時の初期費用が安くすませられる点ではないでしょうか。引っ越しは何かとお金がかかり、新生活を整えるための家具や電化製品の購入、敷金や礼金、前家賃や損害保険料、引っ越し代など、多くの費用を必要とします。
その中で家賃分の負担が軽減されるのは大きいです。最初にかかる初期費用が高額でなかなか一人暮らしに踏み切れないなら、家賃1か月分でも安くなれば助かる人が多いでしょう。
条件次第では得にならないこともある
しかし、気をつけたいのは何もメリット面ばかりではないということです。たとえば、家賃が無料になるフリーレントの期間だけ住み、その後すぐに退去されては貸し主も立つ瀬がありません。そうならないために、フリーレントにはある条件をつけています。
大体は1年とするところが多いようですが、その期間よりも前に退去をすると、無料にしたフリーレント分の家賃を支払ってもらうというような特約がついていることがほとんどです。携帯電話の契約で見られるような、俗に「縛り」と言われる期間を設けるわけです。
賃貸借契約書を見ると短期解約による違約金等と説明がありますので、事前によく確認しておきましょう。最初から短期間しか住む予定がない人は、特にフリーレント物件にこだわる必要はありません。
まれにフリーレントの期間は最大3か月など、無料の期間を長くしている物件も見られます。そのような物件の背景を考えてみましょう。そこまでして入居率を上げたい理由にはどんなことがあるのでしょうか。
設備が古い、老朽化している、駅から遠いのに歩くしかない、崖の上に立っている、など立地面や建物自体にマイナス要素があり人気のない物件かもしれません。しかし自分が住むにあたり、マイナスと感じない物件ならデメリットにならない場合もあります。いずれにしろ、内見をして周辺の環境をよく観察して調べてみることが大切です。
まとめ
不動産屋に出向いてフリーレントの物件を探していることを伝えても、多くは物件情報のファイルをめくったり、同じようにインターネットで検索することになります。それなら1番効率の良い探し方としては、自分でインターネットの賃貸情報サイトからフリーレントの特集ページを経由する方法が1番と言えるでしょう。
ただし、それが全てではありません。直接不動産屋の店頭で交渉次第でフリーレントになる場合もあるからです。交渉できるかどうかは周辺の空き物件の多さにも関わってくるでしょう。
その前に、インターネット上で住みたい地域の家賃相場や周辺の情報を知っておくことは、強みになります。自分であらかじめ情報収集をしておくのは、今後の家賃の値下げ交渉などにも充分に活かされるはずです。